特定技能1号・特定技能2号の在留資格について
2019年4月から、新しい在留資格「特定技能」が新設されました。
深刻な人手不足が認められている建設業界や介護業界など、14業種に外国人の就労が解禁されたことが話題になっています。
特定技能ビザを取得すれば、建設業界、造船業界、宿泊業界、外食産業などの業界でも外国人が働くことが可能です。
今回、特定技能1号・特定技能2号の在留資格について詳しく解説していきます。
在留資格「特定技能」とは
「特定技能ビザ」は、特定技能ビザは1号と2号の2種類に分かれています。
2019年8月現在、1号の対象は14業種、2号の対象は2業種あり、原則として1号の修了者が試験をパスすると2号に進む形です。 ただし2号の対象は2業種のみですから、2号対象外の12業種で働いてきた外国人は1号が終了すると本国に帰国しなければなりません。
▼特定技能ビザ1号の対象業種
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 介護
- ビルクリーニング
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気電子情報関連産業
▼ 特定技能ビザ2号の対象業種
- 建設業
- 造船・舶用工業
特定技能ビザの1号と2号の違い
特定技能ビザの1号と2号の大きな違いは滞在期間です。
特定技能1号の場合は、最長5年ですが、特定技能2号の場合は、更新の条件を満たす限り、回数の制限なく更新可能です。
特定技能2号の場合は、日本滞在の期間に制限がありませんので、定年まで働くこともできる上、家族を本国から呼び寄せることもできます。
この場合の家族とは、配偶者または子が該当し、親や兄弟姉妹は含まれません。 特定技能1号の場合は、5年で帰国することが前提となるため、日本に家族を呼び寄せることはできません。
特定技能と技能実習の違い
特定技能を設置した本来の目的は人手不足を補うため、技能実習は国際貢献のためです。
そして、特定技能は主に単純労働ですが、技能実習の場合は単純労働はありません。 技能実習は、日本の優れた技術を身に付けて、母国の産業発展に活かしてもらうことを目的としています。
特定技能の在留資格が新設された背景
これまで、技能実習は「国際貢献のために」といいながら、実際は人手不足を補っていた背景もありました。 特定技能ビザは日本の人手不足の解消を目的としているので、今後は特定技能に代わっていくでしょう。
「特定技能1号」とは
特定技能1号とは、即戦力かつ期間限定の戦力となる人材を受け入れるための在留資格です。
特定の業種において通算5年間就労することができますが、雇用契約の満了後は本国へ帰国することになります。
特定技能1号を取得する外国人に求められる技能水準は「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」です。
相当期間の実務経験等を要する技能のことで、一定程度の業務を遂行できる水準となっています。
特定技能1号は外国人労働者の国籍を問いませんが、各業界ごとに試験実施国は数か国に限られています。 その他、日本語能力、仕事に関する知識・経験における試験に合格する必要があります。
「特定技能2号」とは
「特定技能2号」とは、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する在留資格です。
現在は「建設」及び「造船・船用工業」の2つの分野のみですが、今後は特定技能ビザの受け入れ対象分野が拡大される可能性もあります。
特定技能2号を取得する外国人に求められる技能水準は「熟練した技能」です。
長年の実務経験等により身につけた熟達した技能を持ち、高い専門性・技能を要する技能とされています。
自らの判断により、高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準となっています。 「特定技能2号」は「特定技能1号」とは異なり、家族の呼び寄せができ、在留期間の更新が可能です。
特定技能外国人を雇用するには
特定技能ビザで来日する外国人を雇用する受け入れ会社のことを、入管法では「特定技能所属機関」と呼びます。
特定技能外国人を受け入れて支援する企業・個人事業主等のことです。
特定技能所属機関として認められるためには、以下の4つの基準を満たす必要があります。
▼受入れ機関(特定技能所属機関)の条件
- 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(報酬額が日本人と同等以上)
- 受入れ機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制があること(外国人が理解できる言語で支援できる)
- 外国人を支援する計画が適切であること(1号特定技能外国人に対する支援について)
受入機関と登録支援機関とは
特定技能外国人を受け入れて支援する企業・個人事業主等のことを「特定技能所属機関」といい、雇用契約である「特定技能雇用契約」を結びます。
特定技能雇用契約は、外国人の報酬額が日本人と同等以上であることを含め、所要の基準に適合している必要があります。
登録支援機関とは、特定技能所属機関から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施する機関です。
特定技能所属機関は、特定技能1号外国人に対し支援を行う義務がありますが、支援を全て委託することができます。
委託を受けた機関は、出入国在留管理庁の登録を受けることで、登録支援機関となります。 登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、定期又は随時の各種届出を行う必要があります。
▼登録を受けるための基準
- 当該支援機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制があること(外国人が理解できる言語で支援できる)
まとめ
新しい在留資格「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、「技能水準」と「日本語能力」が一定水準以上である必要があります。
今後は、就労できる外国人が増えてあらゆる企業において人手不足の解消が望まれます。